「Welcome to the North」(2004) / The Music

レビュー

2000年代初頭、デビューアルバム「The Music」でブレイク。以来、日本でも人気が高く、フジロックフェスの常連としてもお馴染み。

そして本作は、2004年にリリースされた2ndアルバム。

しっとりと聴かせるダンスロック

メタリックなギターによるハードな味付けのサウンドと、クラブミュージックばりのノリの良さが組み合わさったデビュー作「The Music」は、”ダンスロック”という言葉を使いたくなるほどの素晴らしい作品だった。

以来、ダンスミュージック寄りのバンドが次々とブレイクを果たすため、このバンドの登場がシーンに与えた影響は非常に高いものと思われる。俗にニューウェイブリバイバルと言われるものである。

そしてもう一つこのバンドを特徴づけるものが、ロブのハイトーンヴォーカル。気持ちいいくらい突き抜けて響き渡る様は、個人的に大好きだ。

そのインパクトの強かったデビュー作に対し、本作は粗が削れた上に、非常にしっとりとした雰囲気に包まれている。音圧で圧倒するようなスタイルではなく、あくまで曲の良さで攻めているような感じ。そのため、それぞれの楽曲に表情があり、アルバムを通して聴くと非常に聴き応えがある。彼らはこんなことも出来るんだと、引き出しの多さに感心させられたアルバムである。

本作で一番好きなのは、#3「Bleed From Within」。じわじわと盛り上がってくる曲展開が素晴らしく、中毒性が半端ない。そして本作ならではの曲として、ヴォーカルを聴かせることに特化した情緒的な#6「Fight the Feeling」がある。この二曲は本作では白眉である。情緒的といえば#8「Into the Night」もある。どの曲も言えることは、小難しいことを考えなくとも、単純に曲がいいということ。前作の彼らを知らなくともすんなり入っていけるし、むしろ前作よりも好きだいう方も多いかもしれない。

一方、#1「Welcome to the North」とシングルとなった#2「Freedom Fighters」は、前作の流れを引き継いだハードな音とグルーヴ感で構築されたのものとなっている。そのため冒頭から今までの彼らの音堪能でき、興奮させられる。そこから違和感を覚えない程度の変化をしていきながら、途中で#6のようなミディアムナンバーを挟んだりする。このように、新しい引き出しの内容を小出しにしていくようなアルバム展開は、前作のファンを拒もうとしない、とても素敵な内容だと思った。

前作「The Music」ほどのインパクトはないかもしれないが、一曲一曲と聴いていくと、本作の出来の良さに驚くと思う。個人的に、前作よりも本作のほうが遥かにリピート率は高い作品。

トラックリスト

  1. Welcome to the North
  2. Freedom Fighters
  3. Bleed from Within
  4. Breakin’
  5. Cessation
  6. Fight the Feeling
  1. Guide
  2. Into the Night
  3. I Need Love
  4. One Way In, No Way Out
  5. Open Your Mind

※赤マーカーはおすすめ曲

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