「Definitely Maybe」(1994) / OASIS

レビュー

OASISは、91年にマンチェスターにて結成された、言わずと知れた90年代のロックシーンを代表するバンドである。本作は彼らのデビュー作であると同時に、売上や人気が次作「Morning Glory」と双璧を成す代表作。

94年にカート・コバーンが自殺したことにより、米国シアトルを中心に巻き起こっていたグランジシーンは瞬く間に衰退を始めた。それに取って代わるように英国マンチェスターではブリット・ポップムーブメントが突如として首をもたげはじめる。それを担っていたのが、一足早くデビューしていたブラーと、オアシスであった。彼らは同じ94年に代表作をリリースし、両バンドはたちまちの内にブレイクしたのである。

本作で印象的なのは、つまづいてこけてしまうのではないか、というほどの勢いを湛えているということである。ノエル・ギャラガーによってかき鳴らされるギターサウンドの制圧力、リアム・ギャラガーの気だるい歌いまわし、そして英国特有の普遍的なメロディセンスが組み合わさった、パワフルなバンドサウンド。若々しさを武器に、バンドがシーンを駆け抜け、上り詰めていく力強さが反映されているかのような作品で、普遍的なロックの魅力を打ち出しているように思う。

メロディセンスの点、ロックのカッコ良さを分かりやすく体現していた点をとってみると、まるでビートルズ時代への回帰のようだが、古き良き時代への意識は、本人たち、及び周囲の関係者は強く持っていたはずである。特にギャラガー兄弟はビートルズを敬愛しているので間違いないだろう。そのため、彼らの音楽を聴いて懐かしさを感じたロックファンは沢山いたと思う。

彼らの音楽の活動宣言ともとれる#1「Rock ‘N’ Roll Star」は、まさに本作の内容を引用しているような素晴らしい楽曲。スピード感のある演奏、若々しい歌詞など、その猛進するカッコ良さが微笑ましく、当時の彼らにしか書けない曲である。個人的にOASISの曲で最も好きな曲である。

他にも、全体を通して文句のつけようがない#5「Up in the Sky」は終始ワクワクするし、サビのコーラスと終盤のリフがたまらない#7「Columbia」は音の波にたゆたうように心地良いし、デビュー曲である#8「Supersonic」は最も迫力がありかっこ良すぎるし、などなど、挙げだしたらキリがない。

曲からもこれから時代が動いていくさまを感じられ、90年代の名盤にあげられる作品。次作の「Morning Glory」の方が人気とセールスが若干優っているといっても、本作の魅力が衰えることはない。

色あせること無い普遍的なロックのセンスを、こんな早い段階で作り上げてしまった彼らはやはり凄い。オアシスの代表作として、また90年代のロックの代表作として、自信を持ってオススメできるアルバムである。

トラックリスト

  1. Rock ‘N’ Roll Star
  2. Shakermaker
  3. Live Forever
  4. Cloudburst
  5. Up in the Sky
  6. Sad Song
  7. Columbia
  1. Supersonic
  2. Bring It on Down
  3. Cigarettes and Alcohol
  4. Digsy’s Dinner
  5. Slide Away
  6. Married with Children

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